【海外特派員】トルコで発令された外出禁止令について

トルコで発令された外出禁止令

f:id:navimedia:20200421150143j:plain 区役所から支給されたコットン製マスク 1世帯につき2枚

 

 トルコでは、4月10日午後10時頃、広域30都市(日本の政令都市にあたる)と炭鉱があるため肺疾患患者の多いゾングルダク県で、同日24時から48時間の外出禁止令が内務省より発令されました(全人口約8,300万人のうち、約6,464万人が対象)。
同禁止令では、市民生活に影響が大きいことから、これまで閉鎖されていなかったスーパーマーケットや青空市場も2日間にわたり閉鎖されました。
公共交通機関も、2日間にわたり全面運休となりました。
外出禁止令に違反すると、公衆衛生法に基づいて250~1,000リラの罰金が科され、さらに刑罰に応じて懲役刑や罰金刑が科されました。
この措置は、外国人もトルコ人と同様に適用されました。

f:id:navimedia:20200421150123j:plain 外出禁止令を伝えるTV画面

今回の外出禁止令は、気候が良くなり、国民の自粛気分が緩みやすい週末に、これまでの外出自粛要請に加え、スーパーマーケットや青空パザールなど国民が集まりやすい施設や場所を週末に閉鎖することで、自宅隔離の効果を高める狙いがありました。
これまでの外出自粛要請においても、スーパーマーケット、病院、薬局、パン屋などへ行くことは許可されていますが、ロックダウンが発令されている諸国で許可されている散歩は全面的に禁止されているため、それほど大きな影響はないとみられていました。
午後10時という発令時間も、大手スーパーマーケットが午後10時には閉店しており、娯楽施設やレストランなど夜間営業する施設も以前から閉鎖されていることを考慮して、混乱が起きないようにするためでした。

 ところが、10日午後10時に外出禁止令が発令されたとたん、イスタンブールやアンカラなどの大都市で、まだ開いていた個人経営のスーパーマーケットやバッカル(住宅街にある小規模の商店)、24時間営業しているパン屋に人々が殺到しました。
社会的距離を保っていない映像がTVに流れたり、ソーシャルメディアに投稿されたことで、国民の間で批判が集中し、野党の格好の批判の的となりました。
さらに、外出禁止令がまだ発令されていた12日夜現在全国で2日間に24,088人が摘発され、罰金刑を科されました。

 以上の状況を踏まえ、内務大臣スレイマン・ソイルが社会の混乱の責任をとって12日夜に辞任を発表しましたが、エルドアン大統領が辞任状を受理せず、今後も内務大臣の職務に留まることが決定したものの、政治的混乱が露呈しました。

 今回の件で、外出禁止令発令後に営業を行なったスーパーマーケットやバッカル、パン屋、発令後に外に繰り出し、社会を混乱させた国民らを摘発することが発表されました。

f:id:navimedia:20200421150111j:plain マンションのドアに貼られた区役所の注意書き(自宅待機、マスク着用、手洗い、社会的距離)

 

<外出禁止令の背景>

 トルコは、新型コロナウイルス感染者が出る前から万全の対策を講じてきたにもかかわらず、最初の感染者が出た3月10日からわずか1か月強で感染者61,049人、死者1,296人(4月13日現在)と、感染者、死者共に驚異的な増加を示しています。
ヨーロッパやサウジアラビアの巡礼から戻った帰国者が感染源になっていることが、主な原因とみられています。

 また、調査の結果、帰国者や軽度の感染者の自宅隔離の目的や意味が全く理解されていない例が散見されました。
たとえば、巡礼から戻り、隔離施設ではなく自宅で自主隔離をしていたある巡礼者の自宅に親類縁者が次々と訪問した結果、感染者250人以上、死者5人を出しました。
さらに、軽症で自宅隔離をしていた感染者の家に、トルコで恒例となっている病気見舞いに訪れた訪問者が数名感染したという事例もみられました。
トルコ人は家族間の結びつきが強いため、都市部でも親戚や家族、友人間の訪問が頻繁に行われます。
これを重くみた政府関係者は、週末の外出の他に他人の家への訪問を禁止する目的で外出禁止令を発令したとみられます。

 今回の外出禁止令の他に、4月8日からは村や地区単位で隔離政策が実施されることになりました。
少人数の村や地区から感染者が出た場合は、村や地区ごと一定期間隔離するために出入口を封鎖し、警察官や憲兵が厳しく人の出入りの管理を行っています。

 13日夜、18日と19日の週末も外出禁止令が発令されることが発表されました。

PickUp編集部 トルコ特派員

Source: マネ育チャンネル