セキュリティとユーティリティの新機軸追加で再加速

 パソコンソフトの市場規模こそ大きくなったものの、インターコムのライバル会社も急速に増え、ネットベンチャーといわれる新興勢力も登場した。パソコン黎明期と比べて求められるソフトやサービスの性格も変わり、打つ手打つ手がことごとく当たっていたという状況から、風向きが一変。インターコムは、パッケージソフト開発会社としてビジネスの転換期を迎えることになった。

 稼ぎ頭であったパソコン通信ソフト「まいと~く」の売り上げが失われた中で、創業以来、開発を続けてきた企業向けの端末エミュレーター「FALCON」シリーズ、EDIミドルウェア「Biware」シリーズをコンピューター環境の進化に合わせて刷新しつつ、手探りで新しいソフトを開発。時には海外製品をOEM販売しながら、方向性を模索していくという時期が続いた。

 そんな当時の苦労を垣間見ることができるプロダクトが、97年に発表したパソコンを使った国内初のインターネット・テレビ電話ソフト「まいと~くLivePhone」である。いい換えれば、今では普通に行われているビデオチャットソフトであり、着想の面で革新的なものであったが、当時のパソコンやOSの処理能力がとても機能の要求に追いついておらず、さらに超低速の公衆電話回線網だったために遅延も生じ、まだ実用的ではなかった。

 この画期的なソフトを何とか世に出したいと、機能を改善して2年後に展示会で大々的に発表したが、やはり当時の環境にはそぐわず、「メディアにも実用レベルにほど遠いと叩かれ、在庫の山を築いてしまった」と後に高橋啓介会長兼社長CEOは語っている。

 しかし、インターコムは再びコンシューマー向けソフト開発に力を入れるようになり、そこでヒットしたのが、FAXソフトの「まいと~くFAX」であった。2000年に旧バージョンからUIを刷新し、日本初のカラーFAXソフトとして「まいと~く COLOR FAX」を発売。その翌年、発売時のプロモーションも奏功し、「まいと~く COLOR FAX V6」が大きく販売数を伸ばした。同年には、現在20年連続で受賞している「BCN AWARD 通信部門 最優秀賞」を初受賞している。こうして一時代を築いた通信ソフト“まいと~く”のブランドは、まいと~くFAXへと受け継がれていったのである。

現在は「まいと~く Center Hybrid」などを企業向けに提供している
(システム構成イメージ)

 一方で、ハードの領域で従来のクローズドなメインフレームから汎用サーバーへとオープン化の波が進み、創業以来の軸足であった端末エミュレーターの需要にも陰りが見えてきた。そこで、従来の「通信ソフトのインターコム」から、新たな分野への進出に活路を見出した。それが、セキュリティ領域である。

 当時、インターネットの高速化と常時接続化によって、セキュリティのリスクが増大していた。そこで、01年に海外のセキュリティベンダーと業務提携し、翌年インターネットサービスプロバイダー(ISP)をはじめとするオンラインサービス事業者向けに、ASPサービスとしてBtoBtoCモデルのパソコンユーザー向けインターネットセキュリティサービスを開始。これは初のASPモデル、そして従来の売り切り型ではないストックビジネスという意味でも、挑戦的な取り組みであった。

 その流れで、02年に従来の「通信」に「セキュリティ」と「ユーティリティ」を加えた3本柱という新しい事業ドメインを確立する。ビジネスのターゲットも、改めてビジネスとコンシューマーの割合が半分ずつという配分となっていた。そして進化の方向性がようやく定まったこの年、ITバブルの崩壊で後発のネットベンチャーが次々と淘汰されていったなかで、インターコムは創業20周年という節目の年を迎えていた。

 そこからは、従来からの開発力を生かしてハイペースで新製品を開発していった。もう一つの柱であるユーティリティ領域では、パソコン快適化ソフト「Super Utilities」シリーズをはじめ、ブロードバンド最適化、データ復元、ハードディスク診断などのコンシューマー向けのパソコンユーティリティソフトを続々とリリース。ビジネス向けソフトでも、現在の主力製品の一つである「Web給金帳」、そしてセキュリティ領域では、06年に次なる進化への転換点となる情報漏えい対策ソフト「MaLion」(マリオン)が誕生したのである。
Source: BCN+R